本来ならシャクナゲを見に朝6時半発で投石平に行くはずだった日。とりあえず昨晩の時点で登山は諦めてしまったので、朝食を食べてから、ガイドI氏からの「朝8時の電話」を待つ。時間ぴったりに電話あり。
「意外と悪天候になるのが遅いようで…」とのこと。いずれにせよ下り坂であるらしい。「森の中のシャクナゲでも見に行こうかと思うのですが。」と提案される。
「わたしの希望は(1)トレッキングシューズを履く事(2)投石平にこだわりはなく、シャクナゲが見られれば嬉しい」と話し、マッチしていることが確認できたので決定。8:45のお迎えを約束され、すぐに支度を開始。
抜かりなくサポートギアを着込み、雨具も準備。トレッキングシューズを履いて時刻1分前に玄関を出ると、まさに車が到着。すばらしいなぁ。挨拶をして車に乗り込む。このガイドI氏はYNAC創設3人衆の一人。わたしと同い年ぐらいのオッサン。楽しみ。
行き先は、淀川登山口周辺。元の予定の「投石平」に行く場合も通るはずだった道だ。淀川登山口は標高1365mの高さにあるので、車でかなり上る。「いまはマテバシイの新緑のシーズン」という話など聞く。途中で「太忠岳の天柱石」が見えた。「あそこに今度行きたいんです」と話すと、「太忠岳の登山は本当にすばらしいです。何がいいかって、行く途中に見所がたくさんあって、楽しみながら歩いてると、いつの間にか着いてるという感じ。一箇所だけ心臓破りの坂がありますけどね。」とのこと。ああ、魅力的だ。心臓破りの坂は無い方がいいけど。
途中、有名な屋久杉のひとつ「紀元杉」を見る。シャクナゲもちょこっと咲いてる。「この紀元杉を見る歩道、いつの間にか勝手に入口と出口を逆にされたんですよ。」とガイド氏が語りながら「出口」の看板がある方から入る。確かにこっちからアプローチした方が、だんぜん紀元杉の圧倒さが味わえる。観光バスの写真撮影の動線の都合らしい。けしからん。
そして淀川登山口に到着。ここから尾之間方面に少し下り、戻ってきてさらに淀川小屋近辺まで行く計画だとのこと。トイレを済ませ、雨具を装備して、さて出発!と思ったら観光協会の車で乗り付けてきたオジサン数人が、我々が向かおうとしていた尾之間方面に入っていってしまった。「誰も居ない筈だったのに…」と悔しがるガイド氏。まぁあれだけ軽装ならすぐ戻ってくるでしょう、と雑談しながら待ってたら案の定すぐ出てきた。「今日は何ですか?」とガイド氏がオジサンの一人にこそっと話しかけたら「いや、ちょっと接待」とのこと。ふーん(笑)。
さて出発。少し入ったところに「世界一笹川杉」と名づけられた過去のある屋久杉。立派な杉だ。話の様子から、好感を持ってないことは推察できたが、まぁ何となく想像通り。一度は看板が立てられたが、数ヵ月後に台風で飛んでしまったそうで、今はその名前を知ってる人も多くないとのこと。
さらに進むととてもきれいなシャクナゲに何度も出会う。なんだ、かなりいいじゃないか!と思うのだが、予定と実際の違いは…。
本来「投石平」で見る予定だったシャクナゲはYNACの説明によれば、こういうもの↓。
>シャクナゲを見るならばやはり森林限界を超えたい。そこではシャクナゲが足元で咲き誇るので、シャクナゲが一番見て欲しい角度から虫の目で眺めることができるからです。
要は、木がほとんど生えないほど標高が高いところまで行くと、邪魔するものもないので、シャクナゲが低木になっていて、人間の視点から楽しめるということらしい。
それに比して、今日見に来たシャクナゲはそれより標高が低い森の中で、日当たり悪い中、虫から見つけてもらうために、かなり高いところで咲いているのだ。「あ、あそこに咲いてる」と思っても、近づいたら下から見上げる形になり、葉っぱばかりが見えてしまうのだ。なるほど。
それにしても、赤い小さな一つのつぼみから、10個ぐらいのピンクや白の花が咲くこの花はとても不思議で、うるわしい。今年はシャクナゲの当たり年だそうで、例年になくたくさんのつぼみがついてたんだそうだ。わーい。
雨は降り続くが、のんびり歩く。植物の話や生き物の話、何でも説明してくれるので、とても楽しくてよい。
「中高年になって登山を始める方が多いのはいいんですが、どうも登ることばかりにとらわれている傾向がある。『コースタイム3時間のところ2時間半で歩いた』なんて自慢をしている人がいるけど、それは途中を楽しんでいなくて、もったいないと思う。」
などと言われ、すっかり共感するわたし。こうやってまたYNACのリピータを続けてしまうんだなあ。
道が狭くなってきたところで引き返し、いったん登山口まで戻る。続けて淀川小屋方面へ。登山道は整備されているが、雨なのでちょっと歩きにくい。雨足はだんだん強くなる。雨をよけて俯いてるとシャクナゲを見逃しそうになるが、いい所ではちゃんと止まって解説してくれるし、写真を撮りたいと言えば傘を差してくれる。次第に、足元に落ちているもので「あ、ここにシャクナゲがある」と、自分でわかるようになって来た。
その後、かなり降ってきて「どうしましょうかね」と問われる。午後に向けて悪化の一途なのは確実。「目的地まであとどのぐらいですか?」と聞いたら、30~40分かなと言われ、一瞬考える。まだ半分も来ていないらしい。「わたしに決めさせようとしてますよね」と聞いたら「わははは。わかりますか。あとで『本当は歩きたかったのに』とか言われると困りますから、じわじわと」(笑)。やっぱりそうか。昨日の夜の電話も、今朝の電話も、誘導尋問っぽかったもんな。「じゃ、まずはあと5分ほど歩いてみましょう」と、わたしが決定。
雨足は激しくなったり弱まったりで、結局そのまま無事に目的地の淀川小屋という無人の小屋に到着。ここでお弁当タイム。雨をしのげるので、ザックを下ろし、パーカを脱いで、
ほっとする。ふー。
お弁当の内容は、オニギリ2個、さつま揚げ(トビウオかも)、卵焼き。うまーい。温かいお茶をもらって飲む。幸せ。
途中から何人か上の方から降りてきて、同じ場所で休憩。縄文杉を見て宮之浦岳縦走してきたオジサンとか、わたしたちと同じ地点を朝早く出発して、宮之浦岳を目指したけど風雨が強いから引き換えしてきた二人組など。雨なのにみんながんばるなー。
トイレは臭かったけどまあこんなもんだろう。ドアを閉めると真っ暗で、ちょっと怖かった。着てる服が多く手探りなので、いったい何枚穿いたら終わるのだ、とひとりで笑う(正解は4枚)。小屋の写真は撮りそびれてしまった。残念。
さて帰路だ。元来た道を戻るので、わりあいさくさく歩いていたが、他のグループに何回か抜かれた。山では誰にどれだけ抜かされても少しも悔しくない自分に気づく。登山道は来たときよりも遥かに増水していて、5cm深さぐらいの水溜りだらけ。トレッキングシューズは偉大だ。
突然道路が見えて、車のある場所に戻ってきたことを知る。ふー、びしょびしょだ。ザックカバーの中にも水溜りができている。なんだよそれって。こんな車。開けると屋根代わりになるので、すごく便利。
車に乗って下る。ほんとにすごい大雨になってきた。これは屋久島としても大雨の部類だと確認し、ちょっとうれしい。
「ちょっと早いですけど、もう宿に送り届けていいですか」と聞かれ、「はい。あ、でもひとつだけお願いが…」と言って、ビールを買えるお店に立ち寄ってもらった。快く笑いながら応じてくれてうれしい。「ボルネオで買ってきた錫のグラスがすばらしくて、ビールが最高にうまいんですよ」などという話を聞く。
宿に15:30頃到着。記念の写真を撮らせてもらって解散。早速部屋で一人打ち上げをした。予定は6:00帰着だったから、だいぶ短かかったけど相当満足。
夕食まで、洗濯、風呂、一眠りなど。夕食をがっつり食べたら、疲労感が。それでも明日の朝は6:20発で朝一の高速船トッピーに乗るので、精算したりなんだり。宅配便を送りたいが、今日使ったものはみんな水浸しだから明朝手配にさせてもらう約束をして、お金だけ先に払う。
時間に余裕があるので、さぞや立派なブログ記事が書けると思ったのに、なぜかもうこんな時刻だ(21:37)。写真を入れたら、いつアップできるんだろうか…。とりあえず一度アップしちゃおうっと。
※22:25追記。写真追加しました。お楽しみいただければ幸い。
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